痛みや傷は?妊娠したら知っておきたい帝王切開のこと
よく耳にする帝王切開という言葉。妊娠・出産の経験がある人でも、どういうものかきちんと知らない人が意外と多いのでは?妊娠したら、帝王切開になる可能性は誰にでもあります。そんな帝王切開について、まとめてみました。
帝王切開とは?
母体や赤ちゃん自身にトラブルがあって、産道を通る経腟分娩では、危険性が高いと判断された場合に、お腹を切開し、子宮から直接赤ちゃんを取り出す方法です。
あらかじめ、医師と相談して計画的に行う「予定帝王切開」と、出産の途中、何らかの事情で急遽手術になる「緊急帝王切開」があります。
帝王切開になるケース
予定帝王切開の場合
母体側の理由としては
・前回の出産が帝王切開だった
・赤ちゃんの頭がお母さんの骨盤に比べて大きい
・前置胎盤や低置胎盤など、胎盤が子宮口をふさいでいるか、近くにある
・双子以上の妊娠
・赤ちゃんに影響のある感染症にかかっている
・子宮筋腫の手術をしたことがあったり、筋腫が産道付近にある
・心臓、肝臓、腎臓、血液などに、重い持病がある
・40歳以上の初産(施設によって対応が異なります)
などがあります。
赤ちゃん側の理由としては
・赤ちゃんの頭が下を向いていない(逆子、横位など)
・分娩前の赤ちゃんの姿勢が、屈位(顎を引き、前かがみで、背中が軽く丸まっている)ではない
・赤ちゃんが大きい(超音波検査で推定体重が4000グラムを超えているとき)
・赤ちゃんの育ちが悪かったり、問題や病気があるとわかっている
などがあります。
出典:胎位、胎向、胎勢の違い - とある研修医の雑記帳
緊急帝王切開の場合
母体側の理由としては
・初産婦で30時間、経産婦で15時間以上分娩にかかっている
・破水後、子宮内に細菌が入った
・妊娠がきっかけで、重度の高血圧になった
・赤ちゃんが生まれる前に、胎盤がはがれた
・子宮が破裂する兆候が見られる(前回の出産が帝王切開だった場合)
などがあります。
赤ちゃん側の理由としては
・心拍数のモニタリングや超音波検査で、赤ちゃんが元気であると確認できない状態になった
・へその緒が先に下がったり、出てしまった
・妊娠週数が28週以前に破水するなど、赤ちゃんが未熟児である
などがあります。
帝王切開のメリットとリスク
帝王切開のメリット
予定帝王切開の場合、分娩時に起こり得るリスクを回避でき、赤ちゃんに対する安全性が向上することが、やはり一番のメリットです。
さらに、産後1年の尿漏れの頻度が経腟分娩に比べて低くなる、予定日があらかじめわかる、というメリットもあります。
帝王切開のリスク
妊娠9ヵ月頃になると、血栓ができやすくなります。
その血栓が血流に乗って肺に辿り着き、肺動脈に詰まると、肺の組織が壊死する肺血栓塞栓症の状態を引き起こします。
すべての分娩の0.01~0.04%の頻度ですが、帝王切開の人は経腟分娩の人より、5~10倍リスクが高まると言われています。
さらに、次回妊娠時への影響や、手術で切ったところに傷が残り、体質によっては痛んだり、傷がケロイド状になる場合がある、麻酔の合併症などが、リスクと言えます。
予定帝王切開の手術の流れ
手術日の決定
予定帝王切開の場合、出産予定日から2週間ほど前の、妊娠38週前後に予定されることが多いでしょう。
38週というのは、赤ちゃんのことを考えて早すぎず、緊急手術などのリスクを避けるために遅すぎない時期ということになります。
帝王切開の大まかな流れ
①術前の処置として、各種検査や、剃毛、浣腸などの処置が行われます。
②手術中の薬の投与や輸血に備えて、点滴用の針を刺します。
③手術中に意識がある局所麻酔をします。
④麻酔が効いていることを確認し、皮膚と下腹部を切開します。
⑤子宮を切開して赤ちゃんを取り出します。
⑥胎盤などを取り出し、切開した部分を縫合します。
⑦血圧や脈拍などのチェックを受け、病室に戻って休みます。
手術時間は、状況によって時間がかかることはありますが、おおむね30~60分くらいです。
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