奨学金について

奨学金とは大学や高等専門学校等に通う学生を対象として、お金を貸し出す制度です。通常の教育ローンとは違って保護者ではなく学校に通う学生自身が借りることになり、卒業後に定められた金額を返済していきます。

経済的な理由のため、進学が難しい学生を援助するために作られた制度のため、審査はありますが余程学力や素行に問題なければ通れます。銀行の融資と比べてほとんどが低金利でお得な制度ですが、奨学金を返済できない人が増えて問題となっています。

返済できない人が増加

奨学金を貸し出す日本学生支援機構(JASSO)によると、平成26年度末時点で奨学金の返還義務がある人は約362万人です。そのうち1日以上の延滞者が約33万人、3カ月以上でも約17万います。

1日~1週間程度だと、うっかり忘れていたという場合もあるかもしれませんが、3ヵ月間で延滞者が約17万人というのは大きな問題です。奨学金は金利が低いといっても、中身は実質ローンと同じです。返済義務があるにも関わらず、なぜこうなるのでしょうか?

(参考)平成26年度末現在の状況

・返還を要する者(返還期日到来分のみ):362万4,706人
・返還している者:329万6,320人
・1日以上の延滞者:32万8,386人
・3か月以上の延滞者:17万3,190人

「返済する」ことを知らない人がいる!

前項と同じく、JASSOの調査によると延滞者の49.5%が「奨学金の申し込み前に、返済義務があることを知っていた」と回答しています。逆に言えば、残りの約半数は返済義務があることを知らなかったということです。延滞催促を受けて初めて知ったケースが9.8%あることからも問題です。

確かに「給付奨学金」ならば返済の義務はありません。しかしこの給付型の申請には条件が厳しいケースが多く、利用者は奨学金利用者全体の約10%と呼ばれています。残りの90%は「貸与奨学金」と呼ばれており、一般的に奨学金といった場合はこの貸与型を指します。そして、この貸与型は必ず返済しなければなりません。

「奨学金という名前がよくない。お金で困っている貧困層の学生にお金を貸し付けますよ、ほかの民間より利率が安いですよ、というのであれば……。返せない方はそこを勘違いしてしまうのでは。『奨学金』だとお金がもらえると思ってしまう。自分もそうだった。安易だった」

審査が緩いことが問題?

奨学金の支給要件として挙げられるのは、基本的に以下の2点です。

①一定の学力を保有している
②両親の収入が基準以下

奨学金は能力があるにも関わらず、経済的な要因で進学が難しい学生に対して支払う制度です。ですから①はもちろん、②の親の収入が高くない事も要件となっています(収入が高いなら、奨学金を利用せずに親が出せるだろう、という扱い)。

ただしここで問題なのが、将来学生がどのような進路になるのかが、この時点では不明であることです。極端に給料を始めとした待遇の悪い会社に就職するかもしれないし、就職自体が出来ないかもしれない。あるいは就職したが、直ぐに離職するかもしれない。誰しもがこういった可能性はあるにも関わらず、奨学金を返さなければなりません。

親も経済的に苦しいから奨学金を利用したのに、返済できずに迷惑をかける可能性もあります。つまり、借りるのは比較的簡単でも返すのが難しいというギャップが出てきます。

「(貸与奨学金は)10代の若者に何百万円の借金を無審査で貸し出すのです。どこの大学に行くかわからないし、まして(将来の)職業なんかわからない。だから入り口は奨学金の性格。ところが出口の返済になると、金融機関の論理がむき出しになる。ちゃんと返済しなかったら遅延損害金をつけますよ、払わなかったら裁判にかけますよ、親から取り立てますよ。まさに金融の論理になる」

最悪、裁判に発展する恐れも

奨学金を延滞すると、本人に対して電話や郵便で催促されます。その際に返済が苦しいことをしっかり相談すれば、期限の延長や月々の返済金を見直してくれるかもしれません(ただし、基本的に支払総額自体は変わりません)。

しかし、もし催促を無視すると最悪の場合は裁判にまで発展します。支払い未納分を一括請求されてしまうため、一気に生活が破綻してしまうかもしれません。この時点で話し合い、和解出来れば分割払い出来るかもしれませんが、状況次第では分割不可もありえます。



関連するキーワード

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

更新情報をtwitterで受け取る

更新情報をpush通知で受け取る

関連するまとめ

【家計簿】今年こそつけるぞ!続けやすいおすすめタイプはどれ?

家計簿をつけよう…つけよう…と思いながら、いつの間にか1年が終わっている人いませんか?初心者は細かくつけず、…

ひらり / 5485 view

主婦の強い味方!無料なのに使いやすいフリー家計簿ソフト5選

最近人気のデジタル化された家計簿。種類が豊富なため、馴染みのない方はどれを選べばいいかわかりませんよね。今回…

makowork / 10328 view

利用しないともったいない!私的年金の1つ「確定拠出年金」4つのメリット

ここ数年、「貯蓄から投資へ」というフレーズを耳にすることが増えました。 少子高齢化が進む今、預貯金や国の年金…

いっち / 4837 view

子どもが生まれたら考え始めたい、「教育資金」の費用と対策

子供が生まれたら、計画的に教育費を貯め始めたいものです。 では、いつまでに/いくら貯めればよいのでしょうか?…

いっち / 6299 view

資産運用を行う主婦が激増!賢く資産を運用する5つの運用方法とは?

主婦だってお小遣いが欲しい! こどもの進学に向けて、少しでもお金を増やしたい! そう考える女性が増えているこ…

HF-LIFE / 20436 view

月々5000円以下で携帯が維持できる!?家族で通信料を節約する6つの方法

月々の携帯通信料は、年間で大変高額になりますよね。この無駄な出費を少しでも抑えることができないかと、一度は考…

HF-LIFE / 5430 view

払いすぎた税金を取り戻そう!医療費控除でいくら戻るの?

1年間の医療費の合計が10万円を超えた場合、税金がかえってくるってご存知ですか?

よしだ あき / 5276 view

お金を貯めるコツをご紹介!一般的な貯蓄額の平均はどのくらい?

突然ですが、あなたの貯蓄額はいくらですか?1,000万円?500万?100万? 中には貯蓄額0円という人もい…

月光 / 3480 view

最も優れた投資先は「自分自身」です!まずはしっかり自己投資しましょう。

少しでもお金を増やすために、株式などの投資をしようと検討されている方も多いと思います。もちろんそれは大切なこ…

いっち / 4903 view

ママ達損してない?確定申告の期限と必要書類の作成方法

確定申告って聞いたことあるけど、よく分からないというママ達のために、確定申告の時期や必要書類についてまとめま…

ReilyLady / 6181 view

いっち

閲覧、ありがとうございます!

仕事一筋でしたが、最近ようやく家族について考えるようになりました。
拙い部分も多いと思いますが、どうかよろしくお願いします。

アクセスランキング

人気のあるまとめランキング

Facebookページ

フォローして新情報をチェック

twitterをフォロー

フォローして新情報をチェック