大事な両親の介護。上手に使いたい介護保険と介護サービス
介護保険、介護サービスと聞くと、一見難しそうな感じもします。が、筆者の両親はすでに介護保険制度の恩恵を授かっており、義母も近々、申請予定です。そんな筆者の立場から少しでも介護保険と介護サービスを簡単にご説明しつつ、みなさんの介護ににかかる負担を軽減するお役に立てればと思います。
基本的には、支給限度額を超えた分は全額負担なのですが、利用者の負担が過重にならないよう「高額介護サービス費支給制度(※1)」や「高額医療・高額介護合算費療養費制度(※2)」などの対策もあります。
(※1と※2に関しては、次で記載しますので、詳細は各市町村窓口や厚生労働省のホームページでご確認ください。)
出典:厚生労働省|月々の負担の上限 (高額介護サービス費の基準)が 変わります
出典:厚生労働省|高額医療・高額介護合算療養費制度について
世帯内の同一の医療保険の加入者の方について、毎年8月から1年間にかかった医療保険と介護保険の自己負担を合計し、基準額を超えた場合に、その超えた金額を支給します。基準額は世帯員の年齢構成や所得区分に応じて設定されています。
介護保険を賢く使うコツはあるの?そのリスクやデメリットは?
①要介護度はより高い方を
介護サービスの利用限度額が高くするには、要介護の申請をする際にはできるだけ要介護度の高い認定を受けることが望ましいです。
例えば、上記の表を参考にしてみても、要支援1ですと月に5万円の利用になりますが、要介護5であれば約36万円まで利用可能です。
介護認定を受ける際には、この区分を意識するようにしてみてください。
また、介護保険を申請した後、自宅に市役所の職員やケアマネージャーがやってきて訪問調査を行います。その際にはできるだけ普段の様子をありのままに伝えるようにしましょう。部屋もありのままで大丈夫です。なぜなら片付けが行き届いていると、介護の負担がそれほど必要ないと判断されてしまうことも考えられます。
また、申請書の「留意項目当記入欄」は空欄ではなく、日頃からどんなことで困っているか、認知症の症状はどのようなものかなどを詳細に記載しておくことで、直接調査員の判断材料となります。その場で書けない場合は、日頃からのメモや日記を当日、調査員に見て頂くのも良いでしょう。
①の考えられるデメリット
デメリットではないのですが、介護認定度が高い=より寝たきりの状況に近いということでもあります。この観点からすると少し複雑な気持ちにもなります。大事な両親には、いつまでも元気に長生きしてもらいたいものです。なのに、より介護度を高めに望むということは、どこか矛盾を感じてしまいます。よって、決定通知を開封する際は、心の準備も必要ですね。
②世帯分離の考え方
②世帯分離の考え方
介護費用を節約したい方は世帯分離をするのもひとつの方法です。世帯分離とは、同じ家で暮らしている親と子は通常、同一世帯として住民票に記載されます。しかし、同一住所でも世帯を分けて住民登録することも実は可能なのです。こうすれば介護が必要な方ご本人の収入が、年金のみに限られることで活保護が申請できたり、介護保険料の自己負担額を1割にすることが可能となる場合もあります。
②の考えられるデメリット
<デメリット①>
この方法は法律の抜け道とも考えられ「同じ住所で一緒の家計なら、同一世帯である。子どもが高収入なのに介護保険利用料を安くしたいという理由で世帯分離とは本来の考え方から逸脱している」という意見もある為、各市町村窓口によっては受付けてもらえないケースもあるそうです。
<デメリット②>
また、夫婦の世帯分離に関しても、2015年8月以降より預貯金と有価証券(時価)の合計金額が単身者で1000万円、夫婦で計2000万円を超える場合は、この軽減を受けられず、どちらかが課税者の場合も軽減が認められません。
更に、仮に世帯分離をしてみても、国民健康保険料が高くなってしまうケースも考えられます。つまり、国民健康保険料は「世帯割」という形態をとっているので、1世帯あたりの基本料のようなものがあります。世帯分離することで、これが夫婦それぞれにかかってきてしまうので、合計すると負担が増えてしまう恐れもあります。
従って、本当に世帯分離する必要があるかは、本人の資産状況も含めて良く見極める必要があるといえます。
最後に
2015年8月から介護保険制度改正により、利用料の自己負担額が収入によっては1割から2割へと引き上げされました。これは、仮に、これまで月に2万円の自己負担で受けられていた介護サービスが倍の4万円になったという事を意味します。
このことにより、介護サービス費用によって家計が圧迫され貧困状態に陥る「介護破産世帯」や要介護のために生活保護を受ける世帯もここ10年で倍以上に増加している現状です。
超高齢化社会が目前ともいえる今、ますます「介護費用は自分で用意するもの」という観点から、利用者本人の収入・資産や介護の担い手も含めてより介護負担について考えていく必要があるといえます。
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現在、小学1年生の息子と主人と3人家族で暮らしています。
両親も健在なのですが、高齢でもあるため、両親夫婦は我が家からも行きやすい場所の老人ホームで暮らしています。
なので、介護の事、家計の事、趣味の事など、興味のある分野は盛り沢山です。
どうぞ宜しくお願いします。
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介護サービスを利用して、1ヵ月に支払った利用者の負担の合計が負担上限額を超えたときは、超えた分が払い戻されるという国がが定めた制度です。(運用は各市町村に委ねられておりますので、詳しくは各市町村窓口でご確認ください。)